ゴルフを始めたからには、上手くなりたいと思うのは全てのゴルファーに共通した切なる願いです。もちろん、ゴルフ上達のためには日々の練習を根気よく積み重ね、しっかりとしたスイングを作っていくことが不可欠です。
そんな上達熱心なゴルファーが毎回通うゴルフ練習場の多くで使用されているゴルフボールは通称レンジボールといってラウンドで使用するコースボールとは様々な点で違いがあるって知っていましたか?その違いは打ったときのボールの飛び方に少なからず影響を及ぼします。
ここでは大半の練習場で使用されるレンジボールの特性を紹介するとともに、コースボールとの違いをしっかり理解した上で、日々行なう練習の質を向上させるポイントを紹介したいと思います。
練習場のボールとコースボールの構造上の違い
先ずはレンジボールとコースボールの内部構造の違いについて見ていきましょう。
ゴルフボールは大別して下図のように3種類のボールに分けることができます。
これら3種類のボールの構造について一つ一つ見ていきましょう。
2ピースボール
上図一番左のタイプでゴルフ練習場で最も使用されているタイプのボールとなり、その特徴としては:
- 外殻カバーとコアからなる2ピースボール(2層構造)
- レンジボールと言われ性能としては低いが高い耐久性を持つ
中には1層構造の1ピースボールというものも存在しますが、最近では2ピースボールを使用している練習場がほとんどと言っていいでしょう。
3ピースボール
上図中央のタイプでコースボールとしてはスイングのヘッドスピードが遅めの場合に適合し易いボールなります。その特徴は:
- 外殻カバーと内側にミッドコアとコアがあり全3層構造
- コースボールとしての性能レベルは少々低め
練習用のレンジボールよりはかなり性能は上で、その特性からゴルフ初心者にはお勧めのタイプと言えます。もちろん中級者でもOK。
4ピースボール
上図右側のボールタイプで基本ヘッドスピードが早いゴルファーに適合してくるボールとなります。その特徴としては:
- 外殻カバーと内側にミッドコア+2層コアの全4層構造
- コースボールとしての性能は高い
このタイプのボールになると同じ4ピースボールでもスピン性能や飛距離といった面で様々な特性を出しやすい特徴となり、主に上級者にとってその性能を引き出しやすいボールであると言えます。
ゴルフボールは外殻カバー内側に性質の違うゴムが使われ、その組み合わせによって「打感」、「スピン性能」、「反発係数」が変わってきます。つまり多層構造になれば、より細かなボール性能を調整することができるということになり、その分性能が高いということになります。
ボール価格から分かる練習場がレンジボールを使う理由
一言でいえば「費用対効果」ということになるでしょう。
練習場では多数のゴルファーが多くのボールを繰り返し打つこととなります。そのためボールそのものに対して、耐久性とコストが求められることになります。
実際にレンジボールとコースボールの新品価格を比較すると以下のようになります:
- レンジボール:1球あたり60円~85円
- コースボール:1球あたり130円~600円以上
レンジボールは2ピースというシンプル構造により低価格である上に、コースボールと比べて柔らかいという特徴を持っています。そのため固めに作られているコースボールに比べて耐久性が高くなっているということもあり練習場にとっては費用対効果が上がるということになります。
また、練習場は限られたコースとは違い、限定された面積の中で練習エリアを確保していますので、周りにネットを張ってエリア外にボールが飛んでいかない措置も施してあります。打ったボールがそのネットを越えていかないようにする意味でもコースボールではなくレンジボールを使用する理由の一つとなっているのです。
ただ、練習場の中には練習用にコースボールを使用しているところも存在します。私がいつもホームとしている練習場はコースボールを使用していますが、その練習場は正面と左側にネットがない(山になっている)ためにネット越えの心配がないこともコースボールを気兼ねなく使える理由の一つとなっているのではと思います。
練習時からコースボールを使えれば、コースに出たときに少しでも練習時との違和感は軽減できると思うので理想的ではありますが、その分貸出球1球あたりの値段も高くなってしまうのは否めません。
レンジボールの飛び方の特徴
練習場で使用される2層式のシンプル構造と低価格のレンジボールですが、実際に打つとコースボールとは特徴的違いが明確に出てきます。
その特徴としては以下3つの要素をあげることができます:
- コースボールと比べて弾道が低い
- コースボールと比べてスピン量が低くなる
- 軽量で反発係数が低いため飛距離が平均5~15%落ちる
練習場でレンジボールを打っていて、たまにコースボールを打つと明らかに弾道の高さと飛距離の違いを実感した方も多いのではないでしょうか!?
レンジボールは比較的柔らかい特性からヘッドに当たった瞬間ボールが潰れる傾向にあり、その分スピン量は低くなり、そのために弾道が低くなるのです。更に重量が軽い上に反発係数が低いために飛距離も落ちる傾向があるといえるのです。これらの特性は長いクラブになるほど、またヘッドスピードが高いゴルファーほど顕著に現れます。
私もショートアイアンでの飛距離にあまり差を感じないのに、ドライバーの場合にはコースボールと比べて飛距離の差が大きくなるという感覚を実感しているゴルファーの一人です。
レンジボールでの練習でおさえておきたいポイント!
レンジボールのこれら特性を理解した上で練習をすることで、飛んでいくボールの球筋の結果に対する判断の仕方に大きな違いが出て来るはずです。
練習でおさえるべき留意点として:
- レンジボールは元来弾道が低いボールであるため、無理に高さを出そうとせず、あくまでレベルスイングを心がける。
- レンジボールは飛距離が出ないボールと認識して無理に飛ばそうとしないこと。かえって力む結果となりスイングバランスを壊す原因になりかねない。
- レンジボールは柔らかいため、つかまり易く、曲がりやすいと認識する。無理にその球筋を修正しようとすることでいつまでもスイングが安定しないことにつながる。
- レンジボールには新旧と傷み具合のバラつきがあるため、同じ打感で打てても飛び方にばらつきがあることを認識すること。
以上の点を理解し、練習時には毎回異なる球筋に翻弄されることより同じリズムで、クラブヘッドの芯でしっかり捉えられているか、ヘッドが下から入ってきていないかといった、むしろスイングそのものを作っていくことにポイントを置いていくようにすることが安定したショットへの近道になるはずです。
気温と空気密度に影響を受けるゴルフボール
これはレンジボール、コースボールに共通したゴルフボールの特性ですが、ゴルフボールは温度と空気密度に大きく影響を受けます。つまり、気温の高い夏場と低い冬場では、その飛距離に差が出ます。
気温が5度下がればボールの飛距離は2ヤード短くなると言われています。そのため気温が35度を超える夏場と気温5度ぐらいの真冬とでは、30度の気温差があるので単純計算しても12ヤードの飛距離減となります。更に冬場は空気密度が高くなるため飛距離減に拍車がかかることとなります。
この距離の差はコースでは1クラブ分場合によっては2クラブ分の差がでますので、ゴルフボールの共通した特性として覚えておきましょう。
今回はゴルフ練習場で使用されるレンジボールの構造面とその構造が生み出すコースボールとの違いについて解説してきました。少しでも上達のための効果的な練習につなげていただき、楽しいゴルフライフを満喫してください。
この記事のまとめ
- レンジボールはコースボールとは全く違う構造になっている
- 練習場がレンジボールを使用するのは低価格&高耐久性が理由
- レンジボールの飛び方と球筋は低弾道、低スピンで飛距離が落ちる
- レンジボールでの練習は高さ出すこと、飛ばすことよりスイング作りに力点を置く
- ゴルフボールは気温差で飛距離に影響が出る
私もゴルフを始めた頃はボールの重要性に対する認識は薄かったと記憶しています。そしてボールによってここまで球筋が違うのかと実感し始めた頃から練習のスタイルが変わったことを記憶しています。ボールの特性を知って、より効果的な練習につなげていただければと思います。