内村航平選手といえば、知らない人はいない日本を代表する器械体操の名選手。オリンピックや世界選手権、ユニバーシアードで獲得したメダル数は個人・団体・種目別を合わせて金15個、銀9個、銅4個という大変な実績の持ち主です。
そんな内村航平選手を立派に育て上げた母、内村周子さんは地元長崎県と、東京の2箇所で体操教室を精力的に運営されています。この体操教室が今や不動の人気となっています。
一方、内村航平選手はというと、2016年にコナミを退社、プロ活動を開始した際、2017年に全国に長崎ちゃんぽん店を展開する「リンガーハット」と所属契約を結びます。その契約金は他社と比べて最も低い金額提示だったといいます。
何故、これだけの実績を持つ内村航平選手が夢のような契約金を蹴ってあえてリンガーハットと契約を結んだのか?その理由は、体操教室の不動の人気の理由とも共通した母の人柄と教育理念に、どうも原点があるようです。
そこでここでは、内村航平選手の母が運営する体操教室の人気の秘密と、敢えてリンガーハットと所属契約を結んだ理由に迫ってみたいと思います。
母、内村周子さんってどんな人?
今、世間で知らない人はいないプロ体操選手、内村航平選手に負けず劣らず有名人となっている母、内村周子さん。「しくじり先生」や「深イイ話」といったテレビ番組にも出演され、更に認知度が上がりました。
その経歴は:
- 1962年 長崎県生まれ
- 9歳でバレエを、14歳から体操を習い始める
- 純心女子高等学校、長崎県立女子短期大学体育科を卒業
- 大学時代には九州学生体操競技選手権大会で優勝
自身も立派な実績を持つ体操選手ということですね。2014年9月の第47回体操全日本シニア選手権に52歳という年齢で出場し、若手に引けをとらず、成績は21位、50歳以上の部ではトップ。実に見事なものです。
そんな周子さん、とてもせっかちな性格。しかも「しくじり先生」では、なかなか子離れできなかったと告白されています。一方の内村航平氏は、強さの中にもどこかおっとりとした雰囲気があり、母とはとても対照的です。一時は母に嫌気がさした時期もあったようですが、ある意味、内村航平氏のどこかおっとりしたところは母が反面教師になったのではと思います。
子供は息子の航平氏の他に娘の春日さん(同じく体操選手)の2人。夫の和久さんも体操指導者。正に体操一家となります。航平氏の偉業達成には申し分のない環境だったと言えます。
母が運営する体操教室とは?
航平氏の母は夫の和久さんと結婚後、
- 長崎県諫早市の自宅に「スポーツクラブ内村」という体操教室を開設。
内村航平氏も3歳からこの教室で体操の指導を受けてスキルを磨きました。
また、この体操教室「スポーツクラブ内村」敷地内には
- 2014年1月に「航春館」という体育館が新設されました。
内村航平氏の活躍により大幅に増えた生徒により良い環境を提供し、未来の体操界を担う選手を育てたいとの両親の思いからだったようですが、体育館の名前が航平氏と娘の春日さんから文字を取ったあたり、子供に対する思い入れの強さが伺えます。
更に母、内村周子さん、2017年からは、
- 東京都渋谷区に開設された渋谷スポーツ共育ラボ「すぽっと」というスポーツを軸とした子育て支援施設で体操の講師を務められています。
長崎と東京の2箇所で体操を教える傍ら、各所で講演活動をこなし、平均睡眠時間は3時間というパワフルかつ多忙な日々。元々せっかちな性格にこれだけのスケジュールをこなすとなると、更にせっかちさに拍車がかかりそうですね(笑)。
体操という得意分野を通じて、未来を担う子供たちを教育していく姿勢は正に脱帽に値します。
体操教室の人気の理由は「共育」スタイル!
長崎と東京の2箇所の体操教室はいずれも大人気!その秘密はどうも母、周子さんの指導のスタイルにあるようです。
生徒を一生懸命に指導するというのは誰にでもできますが、周子さんのスタイルは、子供と同じように親も、そして指導者も共に成長するという「共育」スタイルを実践されていてとてもユニークな体操教室となっています。
そのポイントは、
- 決して上からではなく子供の目線にたった指導を徹底
- 動物の動きを模した動きを、自身も一緒になって心から楽しんで動く
- 楽しさの中に挨拶や先生の言うことをしっかり聞くことの大切さを指導
- 雰囲気に馴染みにくい子供は付き添いの親も積極的に参加させる
- 先生からの一方的な指導ではなく子供も発言できるプログラムを組み入れる
単に上から目線で口だけで指導するのではなく、自らが率先して子供の世界に入り込み、ときには親も巻き込んで、子供の心を掴んでいく。そして、子供の楽しさテンションが上がった状態の、絶妙なタイミングで礼儀や言われることをしっかり聞く力を育てていくところが素晴らしいですよね。
正に内村航平氏もこの母、周子さんの共育スタイルで育てられたからこそ、素晴らしい実績を積み重ねる素地が備わったのではないでしょうか。
超多忙で、寝る間も惜しんで、体操を通じた献身的な「共育」を実践するというのは、子供の未来を思うからこそですよね。私利私欲では決して実現できないスタイルだと言えます。こんな体操教室がどんどん増えていけばオリンピックで活躍する子供たちがもっと増えていくはず。
リンガーハットとの契約理由は母の教育理念に起因!?
これまで、国内外やオリンピックにおいて数多くの輝かしい実績を残し、「国民栄誉賞も夢ではない」と言われた内村航平選手ですが、2017年に長崎ちゃんぽん店を全国展開するリンガーハットとプロとして所属契約を締結しました。
このリンガーハットが内村航平選手のプロ転向を受けて、一番に名乗りをあげた企業だったようです。ところが、その他名乗り出た企業と比べて、リンガーハットが提示した契約金は最も低かったようです。
内村航平選手が高額な契約金を蹴ってまで何故、リンガーハットとの契約に至ったのか?そこには以下のような理由があったようです。
- リンガーハットが地元長崎で創業した企業であったこと
- リンガーハットが食育で子供たちの支援をしていたこと
内村航平氏はそもそも、金銭面に対する欲求は低く、お金よりむしろ体操を通じて未来の子供を育てていきたいとの思いがリンガーハットの食育の姿勢と方向性が合致したことが大きかったと思われます。
そして、両親が地元長崎で同じ思いで体操教室を始めたこと、つまり内村航平氏にとっての原点がそこにあったということ。
更に母が寝る間も惜しんで未来の子供たちを体操というスポーツを通じて共育していくスピリッツ、つまり教育理念が内村航平氏に見事に引き継がれたからこそ、上述のようなリンガーハットとの契約理由が航平氏の心に芽生えるきっかけになったと言えます。
母が未来を担う子供たちに献身的につくす姿、理念の実践の積み重ねが内村航平のような偉大な選手を育てたんですね。そしてそのスピリッツは航平氏が確実に引き継いでいくことでしょう。
この記事のまとめ
- 内村航平の母は体操教室講師や講演をこなす超多忙な日々を送るパワフルマザー
- 地元長崎に最初に開設した体操教室は「スポーツクラブ内村」
- 地元に内村航平と妹の春日さんの名前をとって「航春館」という体育館が新設された
- 内村周子さんが講師を務める渋谷スポーツ共育ラボ「すぽっと」も大人気
- 長崎と東京の体操教室の人気の理由は内村周子さんの人柄と「共育」スタイルだった
- リンガーハットの食育プロジェクトと内村航平の未来の子供への思いが合致
- 母の教育理念が内村航平のリンガーハットとのプロ契約理由の原点となった
全国に体操教室が増えるきっかけになったといっても過言ではない、内村航平選手の活躍。その航平氏を育てた母、周子さん。注いだエネルギーの膨大さが伺えますね。今見える輝かしい姿は結果であって、その過程には想像できないほどのご苦労もあったかと思います。是非、素晴らしい共育スタイルを更に広げていって欲しいものです。